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フリーアナウンサー遠藤寛子さん特集

遠藤寛子さんの桜便り

~桜にまつわる思い出の一冊より~

 

 ―岡山市民会館すぐ隣にある石山公園です。この時期はソメイヨシノも美しいのですが、こちらには、1本の枝垂桜があり、この存在感が編集部も大好きなんです。

遠藤:そうですね。美しいですね。枝垂桜は、全体的なシルエットから女性的なイメージを、そして時にあやしい美しさを感じることもありますね。


―遠藤さんは、ラジオの生放送番組の中でも朗読のコーナーでいろいろなお話を朗読されていますね。

遠藤:はい。山陽放送(RSK)ラジオで第1(水)を除く、毎週(水)の午前11時20分すぎから短い時間ですが、生放送で朗読をしています。このコーナーでは絵本や詩などを取り上げています。もう3年半続いていますよ。いろんな世代の方に聞いてほしいと思い、このコーナーを立ち上げました。大人世代には、親に読み聞かせをしてもらった懐かしい子どもの頃のことを思い出しながら、そして子育て世代のパパやママには「こんな話もあるんだ。今度子どもに読んでみようかな」というヒントにしてもらえれば…との思いもあります。


―今日も桜にちなんだ思い出の本を紹介してくださるんですか。

遠藤:桜にまつわるお話はたくさんあると思いますが、今日は絵本でも詩でもなく、梶井基次郎という作家の『桜の樹の下には』をご紹介します。


―編集部は初めて知りました。どんな作家さんなんですか。
遠藤:彼は1932年に31歳という若さで亡くなられた方です。この作品は、1928年彼が27歳の時に最初は同人誌に発表されたものだということです。実は、この作品を初めて黙読で読んだ時には「自分にとっては難解に感じられてあまり好きな話ではないな」と思ったのです。その後、あるグループの朗読会でこの作品の朗読を聞き、目で読んで感じたものとは全く違う印象を受け、「なんて不思議で妖しくて面白い作品なんだ!」と自分の心がグッとつかまれ揺さぶられたような気持ちになったことを覚えています。「朗読」というものの面白さに目覚めさせてくれた作品の一つでした。この話は、「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という一文で始まります。美しく咲き誇る桜の、「生」のエネルギーあふれる、ほとんど一瞬の美しさを、その対にある「死」の細かな描写が際立たせているように私には感じられます。独特な世界観だと感じられた文章ですが、それを厚みのある声で語りかけるように表現されたものを聞いた時「だから桜はこんなに美しいんだ」と素直にスッと受け入れられたんです。なぜ桜の花がこれほどまでに美しく感じられるのか、桜の樹の下で花を愛でながら考えてみるのもいいかもしれませんね。

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